タンポポ「TANPOPO 1」(1999年3月31日)


1.ラストキッス (single version)
2.わかってないじゃない
3.センチメンタル南向き
4.Motto (album mix)
5.誕生日の朝
6.片想い
7.ONE STEP    
8.たんぽぽ
9.スキ
10.ラストキッス (album version)



モーニング娘。から石黒彩・飯田圭織・矢口真里を選抜して結成された派生ユニット、タンポポの1stアルバム。初期のタンポポはセクシーさが前面に押し出されており、普段よりも大人な雰囲気の曲が並んでいます。


つんくの本領発揮と言ったところか、さすが得意の歌謡路線だけあってどの曲もかなり良い出来で、それに施された渋めのアレンジも良いです。また、ボーカル面でも非常に魅力的で、中心に据えられた飯田、石黒の低い声、矢口のファルセットが絡み合って絶妙なハーモニーを生み出しています。

このコーラスワークの素晴らしさは初期のモー娘。がアイドルであるだけでなく、それぞれがアーティスト志向を持ったコーラスグループであったことを再認識させてくれますね。同時期にモーニング娘。がリリースした「Memory 青春の光」も難易度の高い曲でしたし。


本作の1トラック目でありデビューシングル「ラストキッス」から既に衝撃的。ドラマチックなイントロ、切な過ぎるメロディ、情感たっぷりに歌われるサビが失恋の恨みつらみや悲しみを綺麗に格調高く表現しています。サビで美しく響くストリングスに3人のコーラスが絡む様は天下一品です。

2ndシングルの「Motto」はアダルト路線を突き詰めすぎたためやや不評だったようですが、このアルバム内では他の曲との兼ね合いでそんなに悪くはないと思います。

アルバム曲では「誕生日の朝」が個人的にはベストトラック。
女の情念渦巻く歌が並ぶ中、唯一の幸福感ある優しく暖かいミディアムバラード。進むにつれて徐々に盛り上がる曲で、3人の儚げなコーラスがとても良いです。

「ONE STEP」も強く印象に残る良メロでいいです。演奏の豪華さがより際立っているジャズナンバーで、このアルバムで一番パンチが効いています。

メンバーそれぞれの収録曲もなかなかの出来で、特に矢口ソロの「センチメンタル南向き」とか軽快でカラッとした曲調が好印象。矢口のボーカルも不安定ながら芯の通った高音でいいですね。


最後になりますが、なんといっても「たんぽぽ」は外せませんね!

後にシングルカットもされたこの曲ですが、アダルトなムードに満ちたこのアルバムで一線を画した軽快なポップスとなっています。ポジティブな歌詞が映えるどこまでも爽やかなメロディーが最高で、今聞いても色あせないエバーグリーンな1曲です。

この頃のつんくの冴えっぷりは言うまでもないですが、収録曲の大半のアレンジを担当した小西貴雄をはじめ鈴木俊介、河野伸の功績も大きいですね。さすが初期のハロプロを支えた主力編曲家たちです。


この後、タンポポは石黒のモー娘。脱退により大きな路線変更を余儀なくされ、このアダルト~たんぽぽ路線は見納めとなってしまうわけですが、このアルバム1枚を残しただけでも十分な功績でしょう。

平凡な、まさにたんぽぽのような存在だった彼女たちが、これから大輪の花を咲かせるであろうことを示唆する1枚で、楽曲のクオリティの高さからもアイドル史に輝く名盤だと思います。