BUCK-TICK「或いはアナーキー」(2014/6/4)

1.DADA DISCO -GJTHBKHTD-
2.宇宙サーカス
3.masQue
4.Devil'N Angel
5.ボードレールで眠れない
6.メランコリア
7.PHANTOM VOLTAIRE
8.SURVIVAL DANCE
9.サタン
10.NOT FOUND
11.世界は闇で満ちている
12.ONCE UPON A TIME
13.無題
14.形而上 流星-metaform-


「或いはアナーキー」が発売され早3か月以上が経ち、6月から始まったアルバムツアー「BUCK-TICK TOUR2014 或いはアナーキー」も残すところNHKホールでの2公演のみ。

私は9月25日の公演に足を運ぶのですが、ツアーの前に改めて「或いはアナーキー」を振り返ろうと今更ですが簡単にアルバムレビューをしようと思います。


まず、「或いはアナーキー」は前作「夢見る宇宙」から約2年ぶりの新作となるBUCK-TICKの18枚目のオリジナルアルバムです。前作がシンプルなロックテイストのアルバムだったのに対し、今作はガラっと変わりまして色々な楽曲を盛り込んだ1枚に。ジャケットからして怪しさ満点の今作ですが、テーマはシュルレアリスムということでB-Tお得意の世界観が炸裂するのでは、と聴く前からワクワクしっぱなしでしたね。先行シングル「形而上 流星」からして今回はかなり良いものになるんじゃ?と予感させてくれていましたし、実際その予感はズバリ的中だったようです。

「DADA DISCO -GJTHBKHTD-」で幕開けするこのアルバムですが、いきなりなんて曲を収録してるんだと。タイトルに添えられた謎の文字列からして何かある感満載ですが、実際聴いてみるとい奇抜なリズムに怪しい単語が盛りだくさんじゃありませんか…。特徴的なのはなんといっても櫻井さんと今井さんによる掛け合いで繰り出される「ダ」と「ガ」の連打!そして弾む様に歌われるアオアオになんとも拍子抜けというか、あぁ、またも裏切られたなと。そう、これがBUCK-TICKというバンドだったと。

突然の怪曲に面を食らいましたが気を新たに2曲目へ、と続けて聴いた「宇宙サーカス」がこれまた終始エフェクトがかかったひねたような歌い方のボーカルとノリノリというか狂乱に近いメロディが妙にこびりつく曲。「DADA DISCO」に頭を殴られてフラフラしてるところをかっさらていくようなスピード感が癖になりますね。作曲は星野さんということで、さすがですね。掴みはバッチリと言ったところでしょうか。

始まりはそんな2曲でしたが、3曲目以降はB-Tらしさのある妖しい曲「masQue」や「Devil'N Angel」、B-T流ダンスナンバー「SURVIVAL DANCE」があったり、歌詞もメロもド直球、J-POP然としてて良くも悪くも普通なんだけど何故か泣けるシンプルなバラード「世界は闇で満ちている」が来たかと思えば『これ今のBUCK-TICKの曲!?』と思うほどストレートで煌めく様なポップナンバー「ONCE UPON A TIME」が来たりと非常にバラエティに富んでいまして感覚的には「RAZZLE DAZZLE」を彷彿とさせられましたね。まぁ、今作はコンセプトが決められているので「RAZZLE DAZZLE」がおもちゃ箱をひっくり返したようなものであったとすると「或いはアナーキー」は色々な作品がテーマに沿って並べられた展覧会のような感じですけど。(そういうと、どちらかといえば「十三階」に近いのか?)

曲単位で言うと、まずシングルの生まれ変わりようですね。先行シングル「形而上 流星」のカップリングであった「メランコリア」がいいです!シングルでは刺々しいデジタルナンバーですごく良かったんですが、今作ではアルバムに溶け込むような妖しくもカッコいい曲になっていてこれもまた良い。B-Tのアルバムver.は毎回出来が良くてファンには嬉しいですよね。

そして、「形而上 流星」のほうも良いアレンジなんですよ。「無題」からの流れを汲んだ、より切なく美しい1曲に。このアルバムのフィナーレをドラマチックなものにしています。私はシングルver.よりこっちを推したいですね。

あと、タイトルに『惡の華』で知られる19世紀フランスの詩人「ボードレール」を冠した「ボードレールで眠れない」が良いですよね。まず「ボードレール=悪の華」ってところでB-Tファンはちょっとニヤリだし、その「ボードレール」をどう曲にするのかって部分で色々想像が膨らむ中で、実際聴くとミドルテンポな優しい詩的な1曲ですから、そう来たか!と思わされました。そして、この曲はアルバムの5曲目なんですが、この配置も絶妙で曲の良さを増してると感じます。これを境にして序盤と中盤をうまく分けてるというか、始めに派手にやったものをこの曲で一度リセット出来てるんですよね。

そう、ほんと今作はアルバムの流れが良く出来ていて、個人的には「DADA DISCO」~「Devil'N Angel」、「ボードレールで眠れない」~「NOT FOUND」、「世界は闇で満ちている」~「形而上 流星 -metaform-」の3部構成だと思っているんですけど、この流れがとても秀逸。通して聴くとなんとも纏まっていて気持ちがいいです。


というわけで、私としてはここ数作では一番繰り返し聞きたいアルバムになりましたね。1曲1曲の強さというよりはトータルの良さが際立ったアルバムだと思います。しかも、このアルバムの恐ろしさは聴けば聴くほどハマっていくということ。気になるから繰り返し聴く→どんどんハマる→聴きたくてしょうがなくなるという中毒者続出必至の今作をまだ聴いていない方にはぜひご一聴していただければと思います。そして何回か聴いていつの間にかどっぷりハマってしまえばいいと思います。