松浦亜弥「チョコレート魂」(2009/2/11)

1.チョコレート魂
2.ガツン
3.チョコレート魂(Instrumental)


松浦亜弥の現時点での最後のシングル作品でもある「チョコレート魂」。松浦は2006年以降、つんくプロデュースから離れており、今作も作詞は三浦徳子、作曲は木村カエラなどに曲を提供している山沢大洋が担当。アイドル路線を離れてからは落ち着いたミディアムバラードの曲を多く歌いこなし、着々と実力派シンガーとしての道を歩んでいた松浦にとって、今作は久々のアイドル的作品となっています。

タイトルの通り、リリース時期にぴったりのバレンタインをテーマにした楽曲で、ポップ&キュートなメロディに甘い恋愛模様を描いた歌詞が乗った非常に可愛らしい1曲ですね。バラードを感情を込めて歌うシンガーとしての松浦亜弥は勿論素晴らしいのですが、やはりカワイイ路線の"あやや"も捨てがたいと思わされました。昔のようなブリブリの歌唱をしなくても、こうしたちょっとかわいい系の等身大のラブソングとか、もっと歌ってくれても良かったのになと思いますね。本人は可愛い曲はもう恥ずかしいらしく、ライブでは「歌うのにパワーがいる」と渋々歌うのが常となっていたようですが……笑

カップリングの「ガツン」もなかなかの良作。こちらもポップな曲であるものの、内容は失恋ソングで、切ない女性の心情が描かれています。歌詞の主人公である女性が好きな男性から恋人を紹介されるも、その恋人というのが自分の親友の女友達だった、といったシチュエーションなんですが、かと言って女の情念が歌われてるというわけではなく、前向きで快活そうな主人公像が見えるのが印象的です。

主人公は失恋してもヤケになることはなく、真夜中にバイクで走りクールダウンしたり、自分をガリレオになぞらえてみたりと結構冷静なのが面白いですね。そして、バカな男に恋した自分に「ガツン」と喝入れと、なんだか勝ち気でカッコいい女性を想像しますね。そして、そんな主人公像が活動的でさっぱりしてるイメージの松浦亜弥に合っている気もして、歌の世界観をよりくっきりと見ることができました。

ちなみに「チョコレート魂」はハロプロの毎年恒例オムニバス「プッチベスト10」に収録されているのみで、「ガツン」に至ってはアルバム収録が未だにありません。つまり、このシングルでしか聴くことができないわけです。2曲とも良いのにあまり日の目を見ていないのが惜しいです。(「チョコレート魂」は後輩の吉川友によってカバーされたので、そっちで耳にした人も多少はいるかもしれませんが…)

アイドル・松浦亜弥の健在ぶりを確認するとともに、"あやや"の成長した姿も感じられる良作なので、興味のある方にはぜひ聴いてほしいです。