2014年から2015年にかけて大変革を迎えたハロプロ。

昨年夏頃からのハロプロは凄まじかったです。新メンバーが加わったり、新たに始動したグループがあったりする一方で活動が停止したグループもあったりと、良くも悪くも話題に事欠きませんでしたからね。

何より衝撃的だったのはハロプロ=つんくの図式が大きく崩れたこと。やはりハロプロといえば「つんくさんが曲を作っている」というイメージがありますから。病気のことを考えればこうなることは薄々わかっていましたが、現実になるとやっぱりショックでしたし動揺しました。

もちろん、落ち込むばかりではないですけどね。新メンバーのフレッシュなパワーやメンバー達の成長は目をみはるものがありますし、外部作家とハロプロの化学反応も正直気になるところ。

そんな期待と不安の中でハロプロのそれぞれのグループによる2015年第1弾シングルのリリースが始まりました。

2月のアンジュルムを皮切りに、カントリー・ガールズ、℃-ute、Juice=Juiceと続き、先週のモーニング娘。'15までリリースラッシュが続きましたが、新たなハロプロを大々的にアピールした2か月だったんじゃないかと思います。

最初は確かに不安な気持ちはありましたが、どのグループもそれぞれ違う色を見せてくれましたし、セールス的にも概ね成功を収めることが出来たと言っていいでしょう。

というわけで、すべての楽曲が出揃った今、それぞれのシングルを振り返っていきましょう。



◆アンジュルム「大器晩成/乙女の逆襲」(2015/2/4) 【オリコン最高2位 初動4.3万枚】




ハロプロ、春のリリースラッシュの先陣を切ったのはアンジュルムでした。

3期メンバーが加入し、グループ名が変わってから初のシングル、しかも楽曲は2曲とも非つんくということで一体どうなるんだ?と訝しげなハロオタも多かったんじゃないかと思うのですが、楽曲が披露されると不安は全部期待へとひっくり返っていきました。

「大器晩成」は同じアップフロントの中島卓偉による作詞作曲。一度聴いたら耳から離れない勢いに溢れたキャッチーなサビがたまらない1曲です。その瞬間最大風速的な爆発力の凄まじさには驚きました。

聴く人を次々と虜にしていった「大器晩成」は各所で絶賛され、評判が評判を呼んだのか、リリースイベントにはこれまでにない人数が押しかけてましたよね。サンシャイン池袋のイベントではあまりの人の多さに田村が号泣したほどですし。結果的に初動セールスはスマイレージ時代から通して自己最高となる4.3万枚を記録し、アンジュルムの躍進を印象付けるものとなりました。

3期メンバーの存在も大きくプラスに作用したと思います。特に佐々木莉佳子の並々ならぬスター性!ライブでもMVでもついつい目で追ってしまいます。これからビッグになるんじゃないかと否が応でも期待しちゃいますね。



◆カントリー・ガールズ「愛しくってごめんね/恋泥棒」(2015/3/25) 【オリコン最高3位 初動4.5万枚】

1999年に結成されて以来活動をしてきたものの2014年時点では里田まいしかメンバーがおらず、事実上活動休止となっていたカントリー娘。の意思を引き継ぐ形で結成されたカントリー・ガールズの1stシングルが3月末にリリースされました。

カントリー・ガールズの結成も大変なサプライズでしたよね。そもそもカントリー娘。新メンバー追加オーディションがうやむやなままで該当者なしとなり終了していたので、企画倒れかと思っていたらまさかの…といった感じでしたし。

しかも、メンバーは研修生含む新メンバー5人とBerryz工房での活動を休止したばかりのももちこと嗣永桃子!

どうなるのこれ?と思わずにはいられませんでしたが、こちらも楽曲が公開されるや否や絶賛の声が飛び交いましたね。



この楽曲は元々新メンバーの5人によるパフォーマンスで、インディーズとしてリリースされる予定でしたが、急遽嗣永桃子を加えた6人でメジャーからリリースされることとなりました。

これはアップフロントらしからぬ英断だったと思います。王道のかわいいアイドルソングに仕上がった今作はこれまで変化球を投げ続けられたハロオタにとって久々のド直球であり純粋な可愛さにメロメロとなる人が続出。特に島村嬉唄による照れ顔は一大ムーブメントとなり、一時的に話題を独占しました。

もう1曲の「恋泥棒」もいい出来ですね。こちらでは年長者の山木さんやももちが効果的に使われているのが印象的。2曲とも有無を言わさない可愛らしさがあると思います。

それにしても、カントリー・ガールズの真の立役者は作詞者の児玉雨子さんではないでしょうか。リアル乙女だからこそ書ける歌詞が曲やメンバーの良さをより引き出しています。アンジュルムの「乙女の逆襲」といい冴えてるなぁ。コピンク(宮本佳林のソロ)の時もですが良い歌詞書きますよね。これからもぜひハロプロに関わってほしいものです。

セールス面では初動4.5万枚を記録し、カントリー娘。時代も達成されていなかったTOP3入りを果たしました。初動4.5万枚はカントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)時代の「初めてのハッピーバースディ!」(初動8.9万枚 最高4位)、「恋人は心の応援団」(初動6.2万枚 最高6位)に次ぐ3番目の初動セールス。累計でも歴代4番目のセールスとなっています。

カントリー娘。の最後のTOP10入りはカントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)として2003年にリリースされた「浮気なハニーパイ」(初動2.8万枚 最高7位)だったため、実に約12年ぶりのTOP10入りでした。まさにカントリー・ガールズにとっては大成功を飾ったデビューシングルとなったわけです。



◆℃-ute「The Middle Management~女性中間管理職~/我武者LIFE/次の角を曲がれ」(2015/4/1)【オリコン最高3位 初動6.1万枚】



変化の多いハロプロでは唯一変化なく突き進む℃-uteですが継続は力なりと言うべきか、この数年の人気の拡大ぶりには驚かされますね。いつの間にか人気が出ていたという印象です。もちろんセールスの上昇は複数リリース・イベント商法による効果が大きく、それはハロプロ全体に言えることですが、それだけじゃない勢いというものが今の℃-uteからは感じられます。今年の6月には初の横浜アリーナでの公演が決定していますし、事務所からもハロプロの年長グループとして期待をされているのではないでしょうか。

そんな℃-uteの最新シングルはトリプルA面シングル。「我武者LIFE」は音楽番組「musicる」とのコラボ企画から生まれた作品であり、作詞を湘南乃風のSHOCK EYEが務めたことでも話題になりましたよね。それぞれ系統の違った3曲の楽曲になっているんですが、個人的にはこれまた中島卓偉による楽曲「次の角を曲がれ」がこの中では良かったかなと思います。力強く前向きなロックナンバーであり、℃-uteに合った曲だと感じました。



◆Juice=Juice「Wonderful World/Ca va ? Ca va ?」(2015/4/8)【オリコン最高1位 初動3.4万枚】




「私が言う前に抱きしめなきゃね」での衝撃のインディーズデビューから早2年。ハロオタたちの間に興奮の渦を巻き起こした「ロマンスの途中」や「イジワルしないで抱きしめてよ」からはすでに1年半が経過しました。デビュー当時は良質な楽曲に恵まれ、大きな話題となっていたJuice=Juiceですが、最近では楽曲のリリースペースが落ちて若干の停滞ムードが漂っていましたね。ハロプロの大変革に伴い末っ子だった時期は早々に終わり、今や2つの後輩グループを持つ先輩グループになりましたし、話題も他グループに持っていかれがちでしたから…。

ですが、そんな彼女たちがJuice=Juiceココに在り!!と健在ぶりを示したのが今作です。前作より6か月ぶりと、最近のハロプロでは長めの期間を空けてリリースされたのですが、オリコンでは幸運にも穴場週にぶつかり、デイリーで初日1位発進という好調な出足を飾りました。その後、他作品と熾烈な首位争いの末、見事週間1位を獲得したのでした。

なんとハロプロの派生ユニットやソロアーティストを除くアイドルが首位を獲得するのはモーニング娘。に次ぐ2組目ということで、各ニュースサイトでも大々的に取り上げられましたね。今やオリコン1位というありがたみも昔ほどはないですが、それでも宣伝効果はありますし、何より本人たちの自信に繋がりますから取って悪いことはないでしょう。

ハロプロ1位獲得者














派生ユニットを含めてもハロプロ関連作の首位獲得はモーニング娘。を除けば2005年のDEF.DIVA以来!実に約9年半もの間、首位から離れていたことになります。まぁ、ハロプロはあまり首位を是が非でもとるという方針ではないため、週選びとかをじっくり行っていないせいでもありますが。


楽曲に関していえば、「Wonderful World」は最初は引っ掛かりが無くてピンとこない曲ではあったものの、ライブで聴いたときには多幸感ある曲調なのでちょっとじんわりと来ました。今では「Ca va ? Ca va ?」と合わせて普通にアリだなと思います。あと、平坦な曲と思いきや意外と歌うのが難しい曲ですよね。最後の高木の歌唱が冴えわたるところは感心します。


◆モーニング娘。'15「青春小僧が泣いている/夕暮れは雨上がり/イマココカラ」(2015/4/15)【オリコン最高2位 初動10.1万枚】




ハロプロ、春のリリースラッシュのトリを飾ったのはモーニング娘。'15です。各グループが次々と非つんく曲になっていく中、娘。だけは3曲中2曲がつんく曲と、一応つんくプロデュースの形を保ったといったところか。「イマココカラ」に関しては映画「プリキュア」とのタイアップであり、企画ものなのでいいとして、他2曲がつんく曲なのは嬉しいですね。やっぱりつんくさんあってのハロプロというのが自分の中では強いので。

「青春小僧が泣いている」はアクが強いというか、また風変りな曲が来たなと。これまでのEDM路線を踏襲した楽曲ですが、今回はこれまで以上にポップじゃないですし、とてもわかりにくい楽曲だと思います。ですが、独特の中毒性は健在で何度も繰り返し聞きたくなっちゃうんですよね。歌詞も今のつんくさんの状況を思えばなんだか儚げで考えさせられます。いろは歌が用いられているのも無常観を表現するためだったりするのかなとか。

そして、もう1曲の「夕暮れは雨上がり」。これはもう初聴きでキタと思いました。個人的には大ヒットです。ピアノがサンプリングされた曲で、歌詞は前向きながらも寂しさが漂うようなメロディー。まさにつんくさんが得意とする「都会の孤独」的世界観でとてもツボでした。これこれ、こういうのを求めてたんですよ…!佐藤がフューチャーされているのもいいですね。透明感ある雰囲気とか、曲に合っていると思います。

MVは相変わらず低予算ぽいですが、和を意識したシンプルな映像でそんな嫌いじゃないですけどね。Juice=Juiceの宮本がけがをした鈴木の代役として参加していることにお怒りだった方もいるようですが、大した問題でもなかったかと。(メンバーを応援しているファンにとっては大問題か…)

ただ、12期にとってのデビューシングルである割には12期の見せ場がなかったとは、さすがの僕でも思いましたけどね。

セールス面ではとにかく神格化しまくった道重の卒業によるファン離れが危惧されましたが、なんとか10万枚はキープしましたし。

それでも、全国同時握手会などの施策がなかったならば10万枚超えは難しかったでしょうし、今後また何かしらの苦戦を強いられる可能性は低くないですね。今後の課題はやはり道重亡き今、メンバーそれぞれがどうやって自分達を売り出していくかでしょう。そう簡単に解決することではないですが、複数商法で積み上げたセールスだけじゃない魅力や実人気を身に着けていってほしいところです。




さて、春のリリースラッシュまとめは以上になります。

今回は取り上げませんでしたが、そう遠くない未来にはグループ名だけで世間の話題を掻っ攫うハロプロ期待の最若手グループ、こぶしファクトリーも正式にCDをリリースするでしょうし、それが非常に楽しみなところ。

春のリリースラッシュは総合的に見ても好調だったと思いますし、それぞれのグループとも幸先の良いスタートとなったのではないでしょうか。

ハロプロの新たなスタートは今始まったばかりです。この春で大きく膨らんだつぼみが一体どんな花を咲かせるのか非常に楽しみですね。